こんな人におすすめ!
#やめられないクセや思考がある人
#つい考えすぎてしまう人
#破天荒な人物が登場する物語が好きな人
小説『イン・ザ・プール』は心が軽くなる短編集
『イン・ザ・プール』は奥田英朗さんによる短編集です。初版年月日は2026年3月なので、20年ほど前に刊行されました。
主人公は変わり者の精神科医・伊良部一郎。1つの短編につき、1患者が登場し、患者視点で物語は進みます。患者それぞれ、少し特殊な病に侵されていますが、伊良部もなかなかぶっ飛んでいるところが見どころ。

5つの短編集
それぞれの短編でどんな患者が登場するか、各短編の概要・感想を書いていきます!
1)イン・ザ・プール
【患者・症状】
表題作。患者はプール依存症。出版社に勤めるサラリーマンの男性です。運動をした方がいいという伊良部の言葉を発端に、区民プールに通うことが日課となり、やがて1日も泳がない日を作ってしまうと、禁断症状が出てしまうように……。
【感想】
運動不足の私からすると、健康的な依存症だな~と思ってしまいました。患者よりも伊良部の行動の方が、衝撃的です……!
2)勃ちっ放し
【患者・症状】
その名の通り、陰茎が勃ったまま戻らない症状。調べたところ、陰茎強直症とは性的な欲求とは関係なしに、勃起が4時間以上続くことを指すようです。患者はバツイチのサラリーマン男性。元妻の浮気が原因で3年前に離婚した過去があります。
【感想】
女性なので、勃ちっ放しの辛さは想像できないものの、日常生活を送るのもとても大変そうだなぁと思いました(他人事)。ラストはあることがきっかけで、患者さんは溜まっていた想いを爆発させるので、スッキリした読後感を得られます!
3)コンパニオン
【患者・症状】
患者はコンパニオンとして働く24歳の女性。自身の美貌に、多大な自信を持っています。ただ自分の美しさを過信する余り、ストーカーに常につけられているという妄想が止まらなくなります。友人に勧められ、伊良部の神経科を受診することになり……。
【感想】
妄想が膨らんでいく心境の描写がリアルで、引き込まれます。「始まりはそこまでたいしたことなかった妄想が、こうやってエスカレートしていくのか!」と感じました。短編3作目にして、「もしかして伊良部は名医なのかも?」と予感させられるお話でもあります!
4)フレンズ
【患者・症状】
患者はケータイ中毒の男子高校生。今でいうスマホ依存症ですが、刊行されたのが20年ほど前なのでスマホではなくガラケーが登場します。患者・雄太は常に誰かとメールしていないと落ち着かず、今だったらLINEで何人もの人とやり取りしているんだろうなという感じです。
【感想】
私は社会人なので、もっと自然体でいたら友達付き合いも楽になるのに、雄太は大変そうだと感じました。ただ友達が多くて忙しいと思われたいという雄太の気持ちは、誰しも共感できるのではないでしょうか? 私も気持ちはとてもわかる。 雄太があることに気づくラストは、ちょっぴり痛みを伴うけれど、個人的にはグッとくる展開でした……!
5)いてもたっても
【患者・症状】
強迫神経症に悩むルポライターの男性。強迫神経症とは、あるイメージにとらわれて、それを打ち消そうと何度も同じ行動を繰り返してしまう病気です。今回登場する患者の場合、火の不始末で家が火事になるイメージがこびりついてしまうという症状でした。ルポライターという職業柄、自分でいろいろと調べる習慣があり、自分は強迫神経症だと自覚するのですが、伊良部には「わかってて狂うのは珍しい」とバッサリ言われてしまいます……。
【感想】
私自身も心配性なので、一番気持ちがわかる患者さんでした。真面目であるがゆえに、自分の行動は変だと気づき、今自分の身に起こっている事象を言語化してしまうんですよね。そういう人にとって伊良部の規格外の治療が効くのかもしれないと思いました。私も少し会食恐怖症なので、伊良部に会いたいです……!
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