作家さんの日常ってすごい……! 朝井リョウさんのエッセイ『時をかけるゆとり』

こんな人におすすめ!

#笑えるエッセイが好きな人
#刺激的で面白い日常を送りたいと思っている人
#行動力のある学生が好きな人

朝井リョウさんとは?

著者紹介でバズり、バラエティ番組で端的で面白いトークを繰り広げる方です

誰もが一度は耳にしたことがあるであろう『桐島、部活やめるってよ』でデビューを果たし、『何者』で直木賞作家となった朝井リョウさん

作品はもちろん、著者本人が面白く、2025年9月には「著者紹介」でめちゃくちゃバズりました!(驚異の46万いいね)

著者紹介は通常、出身地や出身大学、受賞歴、などが書いてあるのですが「春服と秋服が全く同じ」など、経歴ではわからない、本当の(?)パーソナリティを表す紹介文が書かれています。『時をかけるゆとり』はゆとりシリーズの1作目なのですが、各エッセイによって紹介文も異なるので、すべて読破するのもおすすめです。

そして朝井リョウさんはしゃべりも面白い……!

最近『あちこちオードリー』や『令和ロマンの娯楽がたり』に出演されているのを拝見し、トークの完成度に惚れ惚れしました。無駄がないのに熱量があって、バシッと言い切ってくれる清々しさもあります。

当然といえば当然ですが、作家でなくても大成功していそう。会社員、特に営業でのし上がっていきそうなオーラがプンプンに漂っています。

エッセイ『時をかけるゆとり』の楽しみ方

『時をかけるゆとり』が気になっている方に、どんなところが面白いかおすそ分けします。ただ大前提として、一会社員である私の解説を読むより、『時をかけるゆとり』本体を読んだ方が手っ取り早く楽しめるので、買うのを迷っているなら絶対に買った方がいいです

時をかけるゆとり|朝井リョウ | よむ活堂 powered by BASE
戦後最年少直木賞作家の初エッセイ集就活生の群像『何者』で戦後最年少の直木賞受賞者となった著者。この初エッセイ集では、天与...

もう読了した方は、「たしかにここ面白かったよな~」と共感してもらえれば嬉しいです。

バズった著者紹介の強化版「年表」から心掴まれる

前述したように、2025年に著者紹介でバズった朝井リョウさん(バスったポストを投稿したのは現役阪大生アイドルの方)。エッセイ『時をかけるゆとり』では目次の次に年表が展開され、朝井さんに起きた珍事件や珍出来事などが一覧になっています

著者紹介で紹介されたエピソードもまとまっているので、著者紹介の強化版とも言えます。

もちろん年表は全部読んでほしいですが、雰囲気をお伝えするためにも年表の一発目を引用したいと思います。

5月31日、首にへその緒を巻き付け緑色に変色した状態でこの世に転がり出る

引用:『時をかけるゆとり』

緑色の赤子。初めて聞く単語の組み合わせ……。生まれてくるときに大回転したのでしょうか。このような形で読者を初めて知る世界へ連れて行ってくれます。

大学生に特におすすめ! だけど大人が読んでも響く

『時をかけるゆとり』を読んで浮かんだのは、「大学生のときに読みたかった~~」という思い。私は朝井リョウさんの7つ年下の現在29歳。朝井さんの出身大学には落ち、別の某私大に通っていました。

そんな私は大学に入った途端、資本主義にどっぷり浸かり、思い出よりも働いた時間の分だけ手に入るマネーに魅せられ、アルバイトに精を出していました。そして「大学の人とは合わないかも」とスカしていたせいで、今現在大学時代の友達がいない!(文章にしていて悲しい!)

もっと素直に大学生活を楽しめばよかった! 私と同じ轍を踏まないよう、気を抜いたらスカしてしまいそうだと自覚のある大学生にはぜひ読んでほしいです。朝井さんは自身の体験を面白おかしく書かれていますが、どの瞬間も楽しく生きようという気持ちにあふれていて、エッセイがキラキラしています。

そして若輩者ではありますが、執筆時の朝井さんよりは年上にあたる大人の立場で読んでもグッとくる……! 特に大島のお祭りに参加するエピソード。

街へ出よう人と会おうと思わせてくれるエッセイです。

内容は忘れても読み返すたびに新鮮に楽しめる

『時をかけるゆとり』はエッセイなので気軽に、グイグイと読み進められます。なので細かい内容は忘れてしまうことも(決して記憶に残らなかったというわけではありません!)。

今回この文章を書くにあたってざっと読み返したのですが、一部忘れてしまったところを再び新鮮に楽しむという体験をしました。

本のいいところのひとつは、読んでいるときの年齢や心のコンディションによって感じ方が変わってくることだと思うので、『時をかけるゆとり』も再読して、いろんな感想に出会ってみてはいかがでしょうか!

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特に好きなエッセイを2つ紹介

『時をかけるゆとり』に収録されている全23のエピソードのうち、どれも捨てがたいのですが、お気に入りの2つを選抜しました。

黒タイツおじさんと遭遇する

『時をかけるゆとり』の中には旅行の話や100キロハイクの話、学祭の話など非日常のものがいくつかあるのですが、「黒タイツおじさんと遭遇する」は日常で起きたびっくり・おもしろ出来事です。

朝井さんがアルバイト先の駅・麻布十番にあるマックで食事&読書をしていたところ、タイトル通り「下半身が黒タイツのみのおじさん(ちなみに上半身の着衣あり)」に遭遇しました。そのうえ挨拶をされ、「君はいい目をしているね」という人生で一度は言われてみたいセリフをいただくという珍事。

朝井さんと黒タイツおじさんの交流はそれだけにとどまらず、なぜか英語のレッスンが突然始まるという展開に……。衝撃の出会いはぜひエッセイを読んでみてください。

黒タイツおじさんは今でも元気に暮らしているのでしょうか。

母がいろいろと間違う

この章は冒頭から女性を元気づけてくれます。朝井さんいわく「女性は歳を重ねるごとに面白くなっていく」とのこと。この先に待っているのは体力の低下や白髪、シミなんだと思っていたら、まさか面白さが手に入るとは。あと半年で30歳になる身としては、この言葉は希望の光でした。年齢=面白さレベルとしたら、なるべく長生きしたいものです。レベル100に到達したい。

特に母親という生き物は面白いという理論が提唱され、そのエビデンスとして朝井さんの母親エピソードが3つ提示されます。

個人的に好きなのは「免許証」です。なんと朝井さんのお母さんは、お財布に入れやすい形にするために免許証にハサミを入れ、カスタムしてしまったそう……!

私の頭では到底思いつかない斬新な省スペース術。年齢という経験値の未熟さを痛感します。このエピソード以外のお母さまのお話も必読です。

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